「ASMRを聞くと眠れる」と言われますが、本当に睡眠に効果があるのでしょうか?寝つきが悪いときにASMRを試したことがある人も多い一方で、思ったほど眠れなかったという声もあります。
実は近年の研究では、ASMRを視聴すると心拍数が低下したり、副交感神経の働きが高まる可能性が報告されています。ただし、その効果には個人差があることも分かっています。
本記事では、ASMRで眠くなる仕組みや科学的な研究結果、逆に眠れない人の特徴、睡眠効果を高める聞き方までわかりやすく解説します。
ASMRは一部の人にリラックス効果をもたらし、眠りやすくなる可能性があります。ただし効果には個人差があり、聞き方によっては逆に眠れない場合もあります。
目次
ASMRに睡眠効果はある?研究から分かっていること

ASMRには「眠れる」「リラックスできる」といった声が多くありますが、実際に科学的な研究でも似た傾向が報告されています。
研究①ASMRによる感情と生理反応の変化を検証
| 研究名 | More than a feeling: Autonomous sensory meridian response (ASMR) is characterized by reliable changes in affect and physiology |
| 著者 | Giulia L. Poerio Emma Blakey Thomas J. Hostler Theresa Veltri |
| 発表年 | 2018年 |
| 掲載紙 | PLOS ONE |
2018年に心理学誌PLOS ONEで掲載された学術論文によると、ASMR動画を視聴した参加者に心拍数の低下やリラックス感の増加を確認。
研究者は、ASMRが心理的な安心感と生理的なリラックス反応の両方に関係している可能性を示唆しています。
研究②ASMR現象の心理学的特徴を分析
| 研究名 | Autonomous Sensory Meridian Response (ASMR): a flow-like mental state |
| 著者 | Emma L. Barratt Nick J. Davis |
| 発表年 | 2015年 |
| 掲載紙 | PeerJ |
2015年にPeerJに掲載された学術論文によると、ASMRはフロー状態に近い精神状態として説明され、リラックスや幸福感を感じる人が多いことが報告されています。
こちらの文献はASMRが単なるインターネット文化現象ではなく、心理的&生理的に測定可能な現象であることを実証した初期の学術的証拠として評価されています。

こうした研究結果から、ASMRは睡眠前のリラックス習慣として活用されることが増えています!
ただし、これらの研究はまだ数が多いわけではなく、すべての人に同じ効果が現れるとは限りません。ASMRはあくまで睡眠をサポートするリラクゼーションの一つと考えるのが適切です。
なぜASMRを聞くと眠くなるのか?考えられる3つの理由

研究ではASMRがリラックス状態につながる可能性が示されていますが、なぜ眠気につながるのでしょうか?現在の研究や心理的な観点から、主に次の3つの理由が考えられます。
副交感神経が優位になりやすい
私たちの体には自律神経と呼ばれる仕組みがあり、活動的な状態を作る交感神経と体を休ませる副交感神経がバランスを取りながら働いています。
ささやき声や静かな環境音などのASMR刺激は安心感を生じやすく、副交感神経が優位になりやすいと考えられています。
副交感神経が働くと心拍数が下がり、体はリラックス状態に近づきます。その結果、眠気を感じやすくなります。
単調な音が「考えすぎ」を止めてくれる
寝ようとしても、頭の中で考え事が止まらず眠れないことはよくあります。こうした状態は反芻思考と呼ばれ、入眠を妨げる原因の一つです。
ASMRの多くは、タッピング音やブラッシング音などの単調な音が繰り返されます。このような音に軽く意識が向くことで頭の中の考え事が減り、リラックスしやすくなることがあります。

ASMRの音が思考のスイッチを弱める役割をしているとも言えますね!
安心感や擬似的な対人距離
ASMR動画の中には耳元でささやく声やヘアカット・耳掃除などのケアを再現するものがあり、人に世話をしてもらっているような安心感を生みやすいと考えられています。
人は安心しているときに副交感神経が働きやすくなります。そのため、このような感覚がリラックス状態を作り、眠気につながる場合があります。
ASMRが逆に眠れない人の特徴

ASMRにはリラックス効果を感じる人がいる一方で、逆に眠れなくなると感じる人もいます。これはASMRの刺激がすべての人に合うわけではないためです。
ここでは、ASMRが合わない可能性がある代表的なケースを紹介します。
音に敏感すぎる人
ASMRはささやき声や小さな音を強調しているため、音に敏感な人にとっては刺激が強すぎる場合があります。(例:タッピング音や口の音などが気になりすぎて逆に集中してしまう等。)
このような場合は、環境音や自然音などの刺激の少ないASMRを選ぶと聞きやすくなることがあります。
刺激の強いASMRを選んでいる
ASMR動画にはさまざまな種類があり、ロールプレイやテンポの速い音などの刺激が多いものもあります。こうしたASMRはリラックスよりも覚醒に近い状態を作る場合があります。
睡眠目的でASMRを聞く場合は、ゆっくりした環境音やささやき声など刺激が少ないものを選ぶのがおすすめです。
イヤホンの違和感で眠れない
ASMRはイヤホンで聞くことが多いですが、長時間装着していると耳の圧迫感や違和感が気になることがあります。特に横向きで寝る人は、イヤホンが当たって痛くなる場合もあります。
このような場合は、寝ながらでも使いやすいイヤホンやいわゆる「寝ホン」と呼ばれるタイプを使うことで改善することがあります。
動画を見続けてしまう
ASMR動画を視聴していると画面を見続けてしまう人も少なくありません。
しかしスマートフォンやパソコンの画面から出るブルーライトは、睡眠ホルモンであるメラトニンの分泌を抑える可能性があります。

ASMRを睡眠目的で使う場合は画面を見ずに音声だけを流すか、タイマーを設定して再生する方法がおすすめです!
ASMRの睡眠効果を高める聞き方

ASMRは聞くだけでもリラックス効果を感じることがありますが、聞き方によって体感が変わることもあります。ここでは、睡眠前にASMRを活用する際のポイントを紹介します。
寝る30分ほど前から聞き始める
ASMRは寝る瞬間に聞くよりも、寝る前のリラックスタイムに聞き始める方が効果を感じやすいことがあります。
人の体は急に眠りに入るのではなく、徐々に副交感神経が優位になっていくことで眠気が訪れます。寝る30分ほど前から静かな音を聞くことで、体がリラックス状態に入りやすくなります。

読書やストレッチなど、他のリラックス習慣と組み合わせるのもおすすめです!
音量はできるだけ小さめにする
ASMRは音量が大きすぎると耳が刺激に慣れずに脳が音を処理し続けてしまうため、眠りに入りにくくなることがあります。
睡眠目的で聞く場合は、少し聞こえる程度の小さな音量が適しています。
画面は見ず、音だけを流す
ASMR動画は視覚的にも楽しめるコンテンツが多いですが、睡眠前は画面を見ない方がよいとされています。
- 画面を見ずに音声だけを流す
- タイマー機能を使う
ASMRを睡眠目的で使う場合は、上記のようなできるだけ画面を見ない視聴方法がおすすめです。
横向きで寝る人はイヤホン選びも重要
ASMRはイヤホンで聞く人が多く、横向きで寝る場合はイヤホンが耳に当たって痛くなることがあります。
よって、寝ながら使いやすいイヤホンや寝ホンと呼ばれるタイプを選ぶと快適にASMRを聞けるかもしれません。
ASMRが向いている人の特徴

ASMRは多くの人にリラックス感をもたらす可能性がありますが、効果の感じ方には個人差があります。ここでは、比較的ASMRと相性が良いと考えられる人の特徴を紹介します。
寝る前に考え事が止まらない人
ASMRの単調な音やささやき声は意識をやさしく別方向に向けることがあり、反芻思考が続いてしまう人にとっては思考を落ち着かせるきっかけになる場合があります。
静かな環境音が好きな人
カフェの環境音や自然音を聞くと落ち着く人は、ASMRでもリラックス感を得やすい傾向があります。
そもそもASMRには雨音・焚き火・紙をめくる音などの落ち着いた環境音が多くあり、こうした音を聞いて安心感を覚える人は、ASMRと相性が良いかもしれません。
ささやき声や穏やかな音が心地よいと感じる人
ASMR動画の多くは、耳元でささやくような声や細かい音を強調して作られています。こうした音を心地よいと感じる人は、ASMRの効果を感じやすいと言われています。
一方で、こうした音が苦手な人もいるため、最初はさまざまな種類のASMRを試してみると、自分に合ったものを見つけやすくなります。

様々なASMRのジャンルはこちらで紹介しています!
ASMRに関するよくある質問

続いて、ASMRでよくある質問についてまとめてみましたので、それぞれ解説いたします。
ASMRは毎日聞いても大丈夫ですか?
基本的には、ASMRを毎日聞くこと自体に大きな問題があるという研究結果は今のところ多くありません。実際、リラックス目的で習慣的に聞いている人も多数います。
ただし、大音量で長時間イヤホンを使用すると耳に負担がかかる可能性があるので、音量を小さめにしてタイマー機能などで長時間再生にならないようにするのがおすすめです。
ASMRは子どもが聞いても問題ありませんか?
ASMRの多くはささやき声や環境音などの穏やかな音で構成されているため、基本的には危険なコンテンツではありません。
ただし、動画の内容によっては刺激が強いものや不快に感じる音が含まれている場合もあります。
子どもが聞く場合は、自然音や環境音などの落ち着いたASMRを選ぶと安心です。また、スマートフォンの画面を見続ける習慣がつかないように音声だけを流すなどの工夫も大切です。
ASMRを聞くときの適切な音量はどのくらいですか?
睡眠目的でASMRを聞く場合は、小さく聞こえる程度の音量が適しています。音量が大きすぎると音の刺激によって脳が覚醒しやすくなり、かえって眠りにくくなることがあります。
また、イヤホンで長時間聞く場合は耳への負担を減らすためにも、できるだけ小さな音量で再生することが大切です。
イヤホンとスピーカー、どちらで聞く方がよいですか?
ASMRは立体音響で録音されていることが多いため、細かい音の広がりを感じやすいのはイヤホンです。そのため、ASMR特有の音を楽しみたい場合はイヤホンを使う人が多くなっています。
ただし、寝ながら聞く場合はイヤホンが気になることもあるため、スピーカーで小さく流す方法が合う人もいます。自分の寝る姿勢や環境に合わせて選ぶのがおすすめです。
ASMRと睡眠の関係まとめ

今回はASMRが睡眠をサポートできるかどうかや眠くなる理由など、科学的根拠と共に解説しました。ASMRは一部の人にとって、音の刺激はリラックスに役立つ可能性があります。
研究では心拍数の低下や副交感神経の活動の変化などが報告されており、眠りやすい状態を作るサポートになることも考えられています。
ただし、すべての人に同じ効果があるわけではなく、刺激の感じ方には個人差があります。音の種類や聞き方によって体感が変わるため、自分に合った方法を見つけることが大切です。

ASMRをうまく活用しながら、リラックスできる睡眠環境を整えていきしょう。




















ASMRって睡眠に影響あるのかな?